昨年11月、展示会の合間を縫って、ここしかないというタイミングでインドへ行ってきました。詳しいことはわからないけど、なぜか気になるインド。一度は行ってみたいインド。そうして足を伸ばしてみて、現地で出会ったのは数々の手仕事と、人間の逞しさでした。気が遠くなるほどに針を落とされた、バンジャラ族による手刺繍の布。色の組み合わせ、文様の自由さ。ひと型ひと型手押しされるブロックプリントや、手描きの絵付けがユーモラスでどこかファンタジックなブルーポタリー。IT産業が伸びに伸びているイメージのインドでしたが、子々孫々と続いている手仕事が確実に存在していました。
そんな手仕事のものを見るたび、触れるたび、早く自分も手を動かしたい衝動にかられ、手織りを始めた時のことを思い出しました。
そのキカッケが今年のテーマにもなっている「stitch」-ステッチ-です。
当時はパンツに穴が空いたら刺繍糸でステッチを施して、直しては履いて、また破れ、また直したらまた履いて、、、穴が開くたびに増えていくパンツのステッチがとても愛おしくて楽しくて、どんどん弱くなる生地も気になることなく、ひとつのパンツとばかり暮らしていました。
もっともっと手を動かしたい。形作りたいし、色を重ねたい。
ただでさえ生産性の低いと言われる手織りですが、今年はこれまで以上に数を生み出すことと戦わず、表現と手をつなぎ、湧き上がるイメージと素直に向き合い、一枚一枚織り上げていこうと思います。
今回の展示会は秋冬ストールのオーダー会という形式にし、色や素材のセミオーダーも受け付けます。
半年先の季節を思いながら、一緒にあれこれと楽しい想像（創造）ができたら嬉しいです。
渋谷のヒカリエで、心斎橋のギャラリーササキで、お待ちしております。