蚤と器という場

あれは3年くらい前。
金沢に出張で行った際にとても良く古びた黒板を見かけました。
どうしても気になって声をかけると、そこは明日オープンを控えた古道具屋さんです。
東京から来たこと、これから帰らなくてはいけないこと、この黒板がどうにも気になってしょうがないこと。。。
色々と話し、半ば強引に頂いて帰ってきました。
そうしてその黒板は僕の暮らしの一部となったのですが、ここからがあら不思議。
ずっとずっと、気になってしょうがない。
その黒板の存在が気になってしょうがない。
制作をしていても、違う部屋にいても、どこにいたって気になる。
なんだかどうしたって気になる。
そうしてなんだか、その黒板に見られているような気さえしてくる。
とても不思議な、初めての感覚を味わいました。
とある人にこのことを話してみると

「古いものには宿るものがある。だからちゃんとしてあげてね。」

僕は、ただ、味の出た雰囲気のいい黒板だという認識しか持っていませんでした。
しかしながら、先述の実感と共に腑に落ちる言葉があってからは、それがどういったものなのか、背景が気になるようになりました。
よくよく考えてみると、これは古着好きの延長線にあって、ごく自然な流れなのですが。
意識して、敬意をもって物を選ぶということ。
決して値段では買わないということ。
市場価値に合わせるのではなく、自分の価値で判断する。
そうして自分がいい物だと思った、感じた物たちを購入し、共に生活していくこと。
そんな豊かさを知るようになりました。

かねてから親交のあるle biais(ルビエ)さんと場を作ります。
今度は展示会ではなく、蚤の市のような場。
古い器や、道具、服、再生服、古布など用途のある物から一見ないような物まで。
そんな物たちと、僕の作品が並んだらどんな場になるのか。
着用を重ね、時を経た手織り服もご用意します。
今回に限り僕も上記のような、作品以外の物もセレクトして並べます。

お正月に場を設けるのは2年ぶり。
今吉祥寺駅から歩いて3分。
中道通り商店街の入り口近く。
路面店をお借りしての開催です。

2日間限りの小さな蚤の市。
どんな出会いがあるのか。
楽しみです。

今年もあと少しになりました。
愛媛「くらしとごはん リクル」さんでのコースター展も29日で閉幕です。
振り返りもそこそこに、豊かなこれまでと共に進みます。
良い年の瀬にしましょうね。

 

img_5699

 

img_5701