工房オープンに向けて-草むしり-

毎日15分と決めて庭仕事をしています。
工房を整えることのひとつとして行っているのですが、外から見たら庭いじり。草むしり。
しかしながらタイマーをセットし、ひたすら土に近いところでする作業はなかなかいいものです。
ここにはこんな虫がいる。この草はなんで抜きずらいのか。この種類は成長がすごく早いな。これまで気に留めていなかった世界が見えてきます。
それと同時に普段横に置いておいたようなことも考え出します。

自己表現のひとつとして初めた手織りですが、今は使い心地や汎用性なども考えながら織っています。それが楽しみのひとつになっていて、表現のその先、いや、表現の幅が広がったと言えばいいのでしょうか。とにかく、ただひたすら織りたいように織っていたあの頃より、それこそ使い勝手も気にせず織っていたあの頃より、いいものが織れている気がしています。あの頃の作品はもちろん今でもとても愛おしい。だけど今の作品の方がもっと好き。そして、織ったものを身につける。身につけていただく。暮らしの一部になれるように。その人の一部になれるように。これだけものが溢れる現代において、モノを生み出す意味。それを考えずにはいられません。そうして自分なりに見つけた答えと共に生きていく。創っていく。そうして、身につけたいものを身につける。使いたいものを使う。自分で選んだという意思をもって、使う。そのモノと空間を共にする。人と動物の差は何か。この虫たちと自分が違うところは何か。獣と人間の違いは何か。きっと服を着ることだ。自分の意思を持って服を着ることだ。それが違いのひとつに大きくあるのではないか。それぞれの理由を持って、着たい服を選び、着ている。誰かに選ばされているのではなく、自分で選び着ること。あー、もしかして、自分が着たい服を自分で選んで着ることってとても人間らしい行為なのかもしれない。そうか。だから僕は自分で服を作って着た時、あれほど感動したのか。ここまではまり込んだのか。だから今、この道に立っているんだ。だから、人に伝えたいんだ。布を織ることの喜びを。自分で自分の服を作る可能性のことを。

なんてとりとめなく考えごとがわいてきたら作業終わりを告げるタイマーが鳴るわけです。
好き放題に伸びている草たちと、刈るところとそのままのところと、あれこれ楽しみながら付き合っています。